エンジニアは基本的にIT会社で会社員として勤務するが、個人事業主として独立するケースも少なくない。パソコンさえあれば自宅でもできる仕事が多く、独立しやすいといわれているのだ。個人事業主になると、会社員として働くよりも仕事や取引先の取捨選択による自由度が増し、得意分野のスキルをフルに発揮できるだろう。しかし、クライアントから仕事を受注するために営業し、報酬の交渉も行わなければならない。
個人事業主は立場的に弱く、低い単価を設定されたり、報酬未払いが発生したりと不利な状況が生じやすい。こうした事態を避けるため、個人事業主は取引や交渉スキルも身につける必要がある。また、不利な契約を結ばないよう、民法の契約に関する条項も学習しよう。クライアントの債務不履行に備え、少額訴訟などの知識を習得することも重要だ。契約内容についてのトラブルを防ぐには、契約書の作成が欠かせない。場合によっては、前金の要求も有効だろう。
報酬の価格設定は、コンサルタントに相談したり、交渉代行を依頼したりすることもある。エンジニアはITの専門家であって、経営は素人だという当たり前の前提を忘れてはならない。個人事業主は、経理についても全て自分で処理する必要がある。確定申告で申告漏れがあれば、延滞税を課されるリスクもあるだろう。赤字経営ならともかく、経営が軌道に乗って黒字になったら、税理士や公認会計士に経理を任せてミスを防ぐ工夫も不可欠だ。